【ブログ記事サンプル02】コラム:16時に仕事が終わるフィンランド人の満足生活
2020年1月16日
あ
世界最年少34歳の女性首相誕生で注目のフィンランド。
有休消化100%、1人当たりのGDP日本の1.25倍、在宅勤務3割、夏休みは1カ月。2年連続で幸福度1位となったフィンランドは、仕事も休みも大切にする。ヘルシンキ市は、ヨーロッパのシリコンバレーと呼ばれる一方で、2019年にワークライフバランスで世界1位となった。
効率よく働くためにもしっかり休むフィンランド人は、仕事も、家庭も、趣味も、勉強も、なんにでも貪欲。でも、睡眠は7時間半以上。堀内都喜子氏の著書『フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか』の内容から「ゆとり」のあるフィンランド流の働き方を紹介します。
16時を過ぎると、みんな帰っていく
外国人から見てフィンランドの仕事文化でいちばんいいことは何かと問われれば、多くの人が「ワークライフバランス!」と答えるだろう。
フィンランド人は長時間の残業をほとんどせず、休みもきっちりとる。就業時間内はしっかり働くが、それと同じぐらい休みも大切にするし、すべての人にそれが徹底されている。フィンランド人はどんなふうに働いているのだろうか。
フィンランドでは、8時から働き始める人が多く、16時を過ぎる頃から1人、また1人と帰っていき、16時半を過ぎるともうほとんど人はいなくなる。金曜の夕方ともなればなおさらだ。それは不思議なほど、どこの業界でも徹底されている。かつて留学していた大学も、16時過ぎになるとフィンランド人研究者や教授はほとんどいなくなってしまい、残っているのはたいがい外国人か、夕方の授業を担当する講師のみだった。
以前、フィンランド系の企業で働いていたときも、日本のお客様が15時、16時にミーティングをしようとすると、フィンランド人はあまりいい顔をしなかった。帰る時間が近いからだ。逆に、朝早い8時や9時は大歓迎なのである。
最近は、仕事の開始時間や終了時間を柔軟に決められるフレックスタイムを採用している企業が多い。もちろん業種によって多少事情は違い、シフト制の仕事だと時間厳守は避けられない。だが、通常のオフィス勤務であれば、状況に応じて出社時間や退社時間を決めることができる。
残業しないのが、できる人の証拠
この徹底ぶりは、企業レベルの努力というより、国や社会全体の常識といったほうがいいだろう。非常にシンプルに、決まりは決まり、休むことも社会人の権利で、人間誰しも必要という認識がきっちり共有されている。
法律で決められている1日8時間、週40時間以内の勤務時間は守られるべきで、よっぽどの理由がない限り、残業はしてはならないし、雇用主もさせてはいけない。それは、官公庁でも、大企業でも、中小企業でも同じで、経済雇用省のデータによると、多くの業界では平均的な勤務時間は40時間よりも短く、週37.5時間だそうだ。
それは、医師も例外ではない。地域のヘルスセンターで働くある外科医からは、こんなエピソードを聞いたことがある。前の手術がおして、自分が執刀する予定だった手術の時間が後ろにずれこんでしまい、このままでは定時で帰ることが無理になってしまった。
すると「執刀医をあなたから、次のシフトの医師に変えるから、普通に帰っていいよ」と言われたそうだ。手術の内容によってはそうできないこともあるのだろうが、極力、決まった勤務時間を守ろうという文化が垣間見られる。
さらに3歳未満の子どもがいたり、子どもが小学校に上がるときなど、法律で決められているよりも柔軟に時短勤務を認めている企業も多い。だからといって、仕事の量が大きく減るわけではないのでかなり負担はあるが、それによって、家庭や仕事の両立がしやすくもなっている。
在宅勤務は3割
フィンランドでは、週に1度以上、在宅勤務をしている人は3割になる。職場が遠いために自宅で仕事をしている人もいれば、職場が近くともまだ小さな子どもの送り迎えの時間を考えて、週に1、2度自宅で働いている場合もある。
私の友人の1人は、結婚を機に数百キロ離れた地域に引っ越すことになったが、会社も本人も仕事の継続を望んだため、在宅に切り替えた。今は、パソコンと電話があれば、ほとんどの仕事は問題なくできる。社内の会議にもインターネット電話で参加している。
もう1人の友人は、週に1度だけ自宅で仕事をしている。彼は、頻繁にレポートなど文章を書く必要があるため、家の静かな環境で集中してやりたくて上司に提案した。さらに、まだ小さい子どもが小学校からまっすぐ帰ってきたときに、家で迎えたいと願ったことも在宅を選んだ理由の1つである。
オフィスで働くことは、同僚に気軽に相談したり、コミュニケーションを取って刺激を得たりする意味ではとても重要だが、週に1度は1人になれる今のペースがとてもいいのだそうだ。


